1.1 鉄系材料-1

材料

鋼の定義

 今回からは最も身近な金属であろう鉄について扱います。ただ、一言に鉄といっても実際に身の回りにあふれる鉄製品はほとんどが「」であり、金属材料としての「」は無いといっても過言ではありません。

 では鋼とは何か。それは「鉄に0.04~2.14%の炭素を加えたもの」の総称です。炭素のみを加えた場合は炭素鋼、炭素とそれ以外のものを加えた場合は特殊鋼といいます。厳密にいえば炭素鋼にもマンガン等が微量に含まれていますし、特殊鋼にもステンレス鋼のように鋼を名乗っておきながら炭素含有量が非常に少ないまたは0のものまでさまざま。まああくまで「そういう傾向が強いよ~」って感じですね。例外はその都度覚えればよし。

炭素鋼

 ということで今回は比較的簡単な炭素鋼から見ていきましょう。炭素鋼の基本的な物性から。

・炭素含有量によって性質が変わる

・熱処理によって性質が大きく変わる

・強磁性体

 炭素鋼は鉄と炭素のみの合金と考えることができるため、物性を大きく変える要素は基本的に炭素含有量となります。炭素含有量が大きいほど剛性、強度が大きくなります。磁性は若干低下しますがほぼ誤差の範囲といっていいレベルです。ただし、磁気シールドでは少しでも磁気を防ぐことが求められるため、鋼よりも炭素含有量の小さい軟鉄が使われることもあります。

ちなみにJIS(日本工業規格)においてはもちろん材料についても規格が存在します。その中で、「S45C」という材料は「Steel 0.45% Carbon」つまり0.45%の炭素を含有する鋼です。

では「SS400」は?

これは「Steel Structure 最低引張強さ400 N/mm2」が正解です。は?ってなった方。やっぱりそうなりますよね。私もなりました。こればっかりはそういう規格なので仕方ない。頑張って規則性を覚えてあとはJISの表とにらめっこです。

これ以外にも規格中には様々な文字があるわけで、中でも末尾に着けられる文字は処理について書かれていることがあります。炭素鋼については炭素含有量だけでなく、熱処理によっても性質を大きく変えることが可能だからですね。これについては語り始めると長いので次回にします。

ということで次回は鉄―炭素平衡状態図もしくは炭素鋼の熱処理です。どちらをやるかは来週の自分に託します。状態図はあんまりやりたくないですがゆくゆくは必要となるかもしれないので頑張ります。お楽しみに!

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