今回は窓について。意外かもしれませんが窓一つとってもなかなか面白いんですよ。ただし、建築と乗り物では大きく異なる点もあるためそこはご注意を。扉の回と同じく基本的に乗り物、移動機械をメインに話を進めていきます。
窓を評価する際に重要となるのは、大きさ、強度、重量、透過率、形状…ここら辺は分かりますよね。ではそれぞれの項目が同重要なのかを見ていきます。
大きさ
窓を設ける理由は採光であったり眺望性を確保するためであったりすることがほとんどです。
強度
大きくなればなるほど強度が必要になるのはもちろんのこと、使途に応じて十分な強度の確保が必要です。新幹線や航空機のコクピットの窓は3重の強化ガラスですし、お召列車として使用されることが想定されている車両の一部は防弾性能を付与したガラスが採用されます。また、通常の車両においても窓の大きさに比例して強度も必要になりますし、高速鉄道では投石などに対してもある程度の対策を求められます。理由としては雪なんですが、下のイラストである程度察してください。
重量
モビリティは特に軽量化が重要ですし、建築物においても重ければいいというものはないので極力軽量なものを使用したいというのが本音…のはずです。材料が軽量だと自重に耐えるための強度というのを考慮しなくて済むのでより薄く軽くできるというのはどの材料でもよくある話です。
透過率
これについては可視光線だけのことを言っているのではなくありとあらゆる電磁波を指します。近年の近郊、通勤列車においてはUV(紫外線)、IR(赤外線)カットガラスが採用されていますし、原子力関連施設では鉛などの金属を添加した鉛ガラス(放射線遮蔽ガラス)が使用されています。可視光線においても自動車のフロントガラスは透過率80%以上が義務付けられていますが後部座席はユーザーの要望等から透過率の低いガラスが採用されているように非常に重要な指標です。
形状
2次元ではデザインに大きな影響を与える形状ですが、3次元的な要素も非常に重要。旅客機などでは空力面から曲面にすることが求められますし複雑な形状ができるに越したことはないのです。
屈折率
意外と忘れがちな屈折率。コクピットの窓では考慮は必然です。特に多層ガラスではこの点が問題視されることもあります。意外にもこの手のやらかしについては前例があり、モックアップ(実物大模型)を作ることによる確認作業の重要性がよくわかります。ねぇ、[検閲済み]さん?
新幹線では700系まで3層ガラスが採用されてきましたが軽量化と眺望性の観点から1層ポリカーボネイトになっています。3層もガラスを重ねると景色が歪んで見えるためこれによる眺望性の改善は窓が小さくなったN700系では重要だったということなんでしょうか。絶対に前者の軽量化が最も大きな理由でそれ以外は後付けなんでしょうが…詳細は不明ですしあくまで私の妄想です。なお、壁面の薄肉化にも大きく貢献していると考えられます。壁を薄くしなければならなかった理由についてはまた後日。
材料はガラスが主流ですが近年ではプラスチックが使われることも増えてきました。とはいえ費用やリサイクル性のことを考慮するとやはりガラスは優れた材料で今後も多くの窓に使用されるのは間違いないでしょう。紫外線などによる劣化もありませんしね。
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