4.1 連結器-1 連結器の基本

鉄道

 今回から鉄道における連結器について扱っていきます。

連結と解結

 さて、日常的に世界中で行われている連結および解結作業、皆さんは見たことありますかね?日本国内であれば岡山駅でみられるサンライズ出雲・瀬戸号のものや盛岡駅でみられる新幹線車両同士のものが有名ですね。探してみると日常的に連結や解結を行う必要のある多層建て列車の運行はかなり広い範囲で行われています。JR管内で日常的に分割併結が行われている県を挙げると、

・岩手県(盛岡)

・千葉県(佐倉、誉田)

・東京都(東京)

・山梨県(大月)

・静岡県(熱海)

・岐阜県(岐阜)

・奈良県(王寺)

・滋賀県(米原)

・京都府(綾部)

・大阪府(日根野)

・兵庫県(姫路)

・岡山県(岡山)

・香川県(多度津、宇多津)

・高知県(奈半利)

・長崎県(早岐)

 JR西日本の新快速のように一部多層建て列車とは言えない事例もありますが分割併合は行われています。これ以外にも近鉄や小田急などの私鉄でも行われていますし意外と日本全国で見ることができます。機会があればぜひ見に行ってみてください。

 

連結の種類

 一言に連結といってもただ単純に二つの車両をドッキングしているわけではありません。主に3種類の連結作業があり、連結、解結作業ではこれらの接続、解除とその確認作業も同時に行っています。

 

機械連結

 連結といえばで思いつくのはこの連結ですね。車両間の運動を伝えるための無くてはならない部品です。一般に連結器というとこの装置のことのみを指すのであまりこのブログに毒されすぎないように笑。

 連結器に必要とされるのは

  1. 引張力と圧縮力の伝達
  2. 堅固な連結
  3. 連結、解結作業の簡便さ
  4. 衝撃力の適度な吸収
  5. 上下、左右動への柔軟さ

 この五つです。電車ではそこまで恩恵を感じることは少ないのですが貨物列車、特に欧米のそれを見ているとすごさがよくわかるかなと。両数数百両、全長数キロにも及ぶものや、8600tの鉄鉱石を引っ張りながら峠越えを果たすものなどがありますが、いつも話題に上がるのは機関車の性能ばかり。もちろん機関車もすごいのですが強烈な力に耐え続ける連結器のことも注目してもらえると嬉しいですね。

 そしてこれら要求を満たしつつ現役で使われている連結器は以下の通りです。

・ねじ式連結器(次々回かな?)

・ピン・リンク式

・自動連結器(次回解説)

・密着(式)自動連結器(次回解説)

・密着連結器(次回解説)

・棒連結器(以下)

 棒連結器、別名(半)永久連結器はその名の通り棒で車両同士をつないでいるだけの連結器です。700系新幹線をはじめとしたユニット構成の電車は検査以外でユニットを分離することはないのでこのような連結器が使われます。

 

電気連結

 これは気づいているかたもいるかもしれません。電気的な連結を行う…早い話がコンセント挿すのと一緒です。この電気連結には大きく分けて2種あり、1つは電源の供給、もう1つは信号の伝達です。

 まずは電源の供給。一番観察しやすいのは新幹線車両の屋根上ですね。車両中央を一本の線が通っているのが確認できます。これを特高圧引通線といい、パンタグラフで集電した電気を各車へ配るための線です。その名の通り25000Vの高圧電気が通っているので非常に危険です。この引通線、東海道、山陽新幹線の車両では2種類あり、連結や解結を比較的簡単に行えるものとそうでないものがあります。背が高いのが前者、低いのが後者ですね。また、客車列車にのる機会があれば空気管に混じって電源ケーブルが接続されているのを見ることができます。これは電源車や機関車から電源供給される場合に限るため、あまり古すぎると(例えば照明、車軸発電機オンリーの客車とか)見れないですし、日本では新しい車両で客車はほとんどいないためなかなかレアアイテムではあります。

 一方信号線はあまり見ることができないものになります。電車の連結器の下にぶら下がっている(ことが多い)電気連結器の内部に格納されているものなので普段は見れません。この信号線は各車両のモータやブレーキ等の走行に関する制御、ドアや自動案内等の営業運転に必要な制御などなど、電気を使うものすべての制御信号を編成内で統括するために必要な線です。

 電連のカバー仕組み等はこの動画がわかりやすいです。非常に簡単なので文字起こしするとかえってわかりにくいのでこれで解説に代えさせていただきます。

 なおこの動画では密着連結器下部に備え付けられていますが東北、山形、秋田新幹線の車両は連結器上部に取り付けられています。盛岡駅での連結時に連結器が合体したあとニュッと突き出してくる部分がありますがこれが電気連結器です。以下の動画の7:13~が電連ですね。

 

流体?連結

 ここまで気づけている方はなかなかマニア。現代では主に空気管の接続を行っています。これはブレーキ用の空気を通すための管です。もしも連結後に作業員が地上に降りて作業しているならこの空気管の接続を行っていることがほとんどです。いまやほとんどの地区でみられなくなった光景ではありますけどね。

 「流体って大げさな」と思った方もいるかもしれませんが蒸気管の接続を行う場合もあるので空気連結というのは少々間違っているような気がしてこのような表記になっています。蒸気を流すときは客車にスチーム暖房があり、かつそれを機関車などから分配しているときです。シベリア鉄道ではおそらく今でも現役と思われます。シベリア鉄道でお湯が無料なのは冷え切ってお湯になったスチームを配っているだけなんですよね。

 なお、古の技術にはなりますが「真空」を連結することもありました。これは真空ブレーキ採用時代の話です。真空ブレーキの詳細な説明は省きますが真空を連結することで、1両でもブレーキ装置に問題がある、あるいは連結が外れたら自動的に管内に空気が入り込み、編成全体が緊急停止する仕組みです。ちなみに真空ブレーキが廃れた理由はブレーキ力が弱いからです。どれだけ頑張っても1気圧以上の圧力で制輪子押せませんからね。

 

まとめ

 ということで今回は基本編でした。なお、ここまで解結と言ってきいた作業は解放と表現されることが多いのでそこは注意を。わかりやすい対比のためです。今後ちょっとずつやりたいところではあるんですがねじ式連結器や海外の連結器は守備範囲外なのでそこまで詳しい解説はできません。予めご了承を。

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