今回は加工機械についてもう少し深堀りしていきます。もちろん金属加工用のものオンリーなのでそこだけはお間違えの無いよう。
まずは前回(11 加工-7)の答え合わせからいきましょう。正解は…フライスモードなら3軸、電熱線モードなら4軸でした!分かった方はすごい!
では今回は工作機械、特に旋盤とフライス盤、CNCについて触れます。
旋盤
まずは旋盤。産業革命は蒸気機関、製鉄、紡績技術について触れられることが多いですがこれらを支えた真の立役者は旋盤です。旋盤により真円に近いシリンダとピストンを製造することができ、蒸気機関の発達につながりました。そんな旋盤の主要構成要素は刃物台、心押台、面板、送り装置です。え?「他にもあるだろ」だって?うるせえ!
刃物台は刃物を固定する装置、面板は工作物を固定し回転させる装置、心押台は面板と向かい合う位置にあり、工作物の固定や工具を取り付けて内側を削るときに使用する装置、送り装置は刃物台を動かす装置です。送り装置については最後に解説します。工作物が回転することから分かるように基本的に円状の部品を作る際に使用します。筒状と言わないのは円錐、球状の部品も作れるからです。
基本操作は、ハンドルを操作すると刃物台が前後左右上下に動きます。面板左側のレバー類を操作することで工作物回転速度(/min)を選択可能です。ここでわざわざ回転速度の単位を指定しているのが非常に重要なのですが、それはまた次回。なお、NCになると面板左のレバーは存在せず、全てコンピュータで指定することになります。
フライス盤
次にフライス盤。主要構成要素は主軸、工具、テーブル、送り装置です。主軸は工具を回転させる装置、工具は刃物、テーブルは工作物を固定する装置、送り装置はテーブルや主軸を動かす装置です。先述の通り送り装置は最後に説明します。原点での主軸の向きによって立形と横形に大別できます。フライス盤は基本的に工具が工作物の上を動くので直線、平面の加工に主に用いられます。送り装置が動かすのは主軸またはテーブルです。「または」というときは「かつ」の領域も含んでいるのでお気を付けください。ここで旋盤との違いを押さえておくと、基本は同じなことが分かります。
そしてこれらをコンピュータ制御で動かすのがComputerized Numerical Control略してCNCです。厳密には違うものの慣例に倣い以下はNCとします。NCの主要構成要素はフライス盤や旋盤のものに加えて、ソフト、センサ、送り装置です。ソフトはNCの制御、センサはNCの動作を計測するもの、送り装置は最後に解説します。ソフトの中身はなんてことないフィードバック制御ですが詳細な制御器については各社の企業秘密、特にスピンドル(工具を取り付けている軸のモータ)の回転制御に関してはブラックボックスです。センサは様々なタイプがありますが最もよく用いられているのはサーボモータと一体になっているタイプでしょうか。ボールねじを使用している場合、モータの回転角度がそのまま工具先端の位置座標に変換できるので簡単で比較的正確な計測が可能です。
音量注意!
実際のNCフライス盤による人力飛行機のリブ切削の例です。エンドミルを用いた加工ですね。
工具
ではここで基本工具の説明をば。旋盤の基本工具はバイトです。フライス盤の基本工具はエンドミルとフライスです。エンドミルは工具側面で切削、フライスは工具先端で平面を切削するのに使用されます。先述のエンドミル等の工具に様々な種類があるのはもちろんのこと、他にもねじを作る際に使用するダイスやタップ、穴あけをするドリル、エンドミルよりも高精度なリーマなどの工具もあります。名古屋駅前にあるモード学園スパイラルタワー、通称「エンドミルタワー」を見てみるとエンドミルがどんな工具か理解しやすいかも?
送り装置もやりたかったけれど長くなりすぎちゃうので次回にまわします。では次回もお楽しみに!
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