1.1 鉄系材料-7 鋳鉄など

材料

 今回はその他の鉄合金です。その他とはいえ、組成は基本FeとCのみ。「え、どういうこと?」となるかもしれませんが、『1.1 鉄系材料-2』の鉄ー炭素平衡状態図をご覧ください。鋼の定義は「鉄に0.04~2.14%の炭素を加えたもの」なのに4%以降もグラフが続いています。そう、鋼ではない鉄-炭素合金も存在しているんです。具体的にいうと、銑鉄、錬鉄、鋳鉄、軟鉄、純鉄がそれにあたり、鋼よりも炭素含有量の多いものを銑鉄または鋳鉄鋼よりも炭素含有量の少ないものを純鉄または軟鉄といいます。鋳鉄は鋳造に使用される銑鉄、およびその製品、錬鉄は「現在では」鉄鋼製造における中間材料を指すことが多いです。ただし、軟鉄は軟鋼と紛らわしく、極力使用は控えるべきです。今回は分かりやすく炭素含有量が鋼よりも少ないものを純鉄、多いものを鋳鉄とします。

 基本物性は炭素鋼とほとんど変わりません。純鉄については炭素含有量が少ないため、電磁気学的な分野で秀でた性質を示します。(透磁率大、磁性大、電気抵抗小)これは単純に金属元素の割合が増加するからです。鋳鉄についてはこれらと逆の物性が加わります。

・剛性、強度ともに大

・靭性、延性小

・透磁率、磁性は鋼とほぼ同じ(やや小)

 以降は鋳鉄の話のみです。鋳鉄の良さは何と言っても硬いというところと鋳鉄製品の製造の容易さでしょう。表面硬化処理等を行わずとも十分に硬く(一方で割れやすいという性質もあるが)大量生産に向いています。1900年代前半のエンジンブロックは飛行機用エンジンなど凝ったものを除きほとんど鋳造で作られていましたし、それ以外でも同年代の戦車、蒸気機関車用部品など、安価に高強度のものを作る際に使用されていました。近年は新合金の開発が進み目に見える部分での採用は減りつつある気がしますがそれでも鋳鋼とあわせ、今もそして今後もなくてはならない鉄の一種なのは間違いありません。

さて、ようやく鉄系材料がひと段落しました。次はアルミ系材料か、加工か、はたまた全く違う話をやるか…まだ未定ですが次回もお楽しみに!

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