今回はばね第四弾!変わり種だよん。
空気ばね
簡単に言うなれば風船やバランスボールです。気体は圧縮性があるためそれを利用したばねです。気体であればなんでもいいのでガスばねといったくくりで説明されることがあります。ただ、身の回りの気体を使えるならそれに越したことはないので空気を使用することがほとんどです。これまでのばねではフックの法則というものがありましたが、このばねに適用することはもちろん不可能で、気体関連、ひいては熱力学の知見でばねの特性を考えることが必要になります。
このばねの特徴としては
荷重特性は非線形
空気ばねはフックの法則のように分かりやすい式を作ることが不可能、つまり非線形です。もうすこし詳しく言うなれば、ばねが発生させる力の大きさはエアバッグ内の空気の圧力に依存しますが、空気の圧力は式(1)で表されます。
Rは(気体)定数、Vは体積、Tは温度、mは気体の質量またはモル数です。つまり最低でも2変数関数となりますし、体積変化をするときは反比例の関係になることからも線形でないことは明らかだと思います。(ばねとして使用するときは必ず体積変化するのでこの前提は絶対)
減衰性あり
断熱圧縮を考えてもらうとわかりやすいと思うのですが、空気というのは素早く圧縮すると発熱します。つまり、加えたエネルギーが熱として逃げるので、減衰します。しかし、重ね板バネと同様にダンパで減衰をもたせた方が良い場合も多々あります。DF200、EF210機関車も両端の台車はダンパがついていますね。
制御が可能
空気を出し入れすることでばねの長さ、ばねの硬さ(いわゆるばね定数、ばねレート)を変えることができます。これにより、車両の場合は車高を変えたり、ばね硬さを上げることでよりスポーティな走りを体感できたりします。
ここまでだと少々特別に感じる方もいるかもしれませんが、実は誰もが毎日お世話になっているというね…。気づいてます?電車、航空機、バスのサスペンションはほとんど全てが空気ばねなんですよ。電車で満員のときでも空いているときでもホームと大きな段差ができない(自動車高調整機能)のも、バスが停車時に扉側の車高を下げて乗降を容易にしている(ニーリング)のも空気ばねのおかげです。しかも車のタイヤも空気ばねの一種です。「いやいやそんなわけ」と思われるかもしれませんが、空気入りゴムタイヤの有無だけでも乗り心地は大いに異なりますし、自動車の振動解析ではこういった図も用いられるので立派なばねです。マス(重さ)書くの忘れてたけどまあいいや。
磁気ばね
磁力を使用したばねです。力は式(2)であらわされます。
ここで2つのmは磁気量、磁気の強さと考えてもらえばOK。rは距離、kは定数です。これだけ。非接触なので実用例は…知らないですね。浮上式リニアモーターカーや一部磁気軸受の副次的な効果として得られるものではあるとは思います。
ゴム
実は皆さんの想像以上に使用されているゴム。これもばねの一種ととらえることができます。入試問題でもそういった趣旨の問題が出たことがありますしね。これはそもそも、高分子化合物なので難しいところ。形状だけでなく分子構造によって特性が異なります。可能性は無限大!なので理論はすっ飛ばして実用例を挙げて終わります。ということで実用例なのですが振動の吸収という点で数が一番多いのはブッシュではないでしょうか。ブッシュとはジョイント部(リンク同士を結合している個所。回転可能)のピンとリンク(棒のような部分)との間に挟む緩衝材で、材料にとっての天敵である撃力(瞬間的な大きな力)を緩和するためです。エンジンや楽器などの防振材として用いられることも多いです。補足ですがこいつに関しては減衰性はありますのでお間違えの無いよう。
ということでばねは一通り終わりですね。気が向いたらもう少し深堀してもいいかもね。いつやるか?あとでしょ。次はダンパです。バイバイ。
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